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 いわゆる売れ線の、聴きやすいやすいポップスってあるじゃないですか。巨匠を例を挙げるなら、大滝詠一とか筒美京平の世界(決してdisってませんよ、念のため)。その一方で、玄人好みのテクニカルな音楽もありますよね。ちょっと敷居は高いけど、聴けば聴くほど発見があるような。この前者の「聴きやすさ」と、後者の「玄人好みのテクニカル」な面を併せ持った音楽グループに出会いました。

 作曲を手掛けるショック太郎・とんCHANの二人で結成され、後にボーカル武井麻里子が加入した3人組、“blue marble”。そのファースト・ワンマンライブ「ドキドキ元年」が、去る9月20日(木)原宿ストロボカフェで開催されました。blue marbleについてはまだネット上にも情報が少ないので、ここはひとつ頑張ってレポートを上げることにしましょう。

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第一部(前半戦)

 開演前に、blue marbleが所属する「乙女音楽研究社」川島イタル社長よりご挨拶。休憩を挟んで2部構成になるとの案内でした。この社長さん、同社所属フレネシさんのイベント「フレネシ学園」に行ったときも喋ってましたが、間のとり方が独特でとても面白い方です。こういう人と一緒に仕事ができると楽しいんだろうなと思います。

 というわけで前半戦、第一部がスタートしました。観客100人くらいの小さな箱で、陣取ったのは最前列。ステージはやや高めで60cmほど。ボーカルのまりさんが出てくると距離が近すぎて、何だか照れてしまいました。でもそんなことお構いなく演奏がスタート。blue marbleはツインキーボード(シンセ+ピアノ)&ボーカルというやや変則的なメンバー構成なのですが、そこに今日はドラム、ベース、ギターのサポートが加わって磐石の布陣です。まずは最新アルバム「フルカラー」収録の「boy MEETS girl」、普段のライブでも必ず歌う定番曲で幕を開けました。

 いま、最新アルバムと書きましたが、blur marbleが出したアルバム2枚のうち、武井麻里子が参加しているのはこの2ndのみ。ゲストボーカルで収録された1stアルバム「ヴァレリー」の曲を彼女が歌っているのは聴いたことがありません(本当は幻のデモCDがあるのですが、すでに完売で手に入らない>_<)。しかし今日は持ち時間たっぷりのワンマンライブということで、どこかで旧譜の曲もやるのかなと期待していたら、いきなり2曲目で封印を解いて「パーティーの方程式」を歌ってくれました。私が原曲を知らないからかもしれませんが、普通に自身の持ち歌のように歌いこなしていて、まったく違和感がありません。さすがです。

 この後、新譜と旧譜の曲を織り交ぜつつ、チャクラのカバー曲「まだ」を挟んだりしながら、最後は太鼓の達人にも収録されている「super star shooter」を歌って第一部が終了。実にあっという間でした。

ハーフタイム

 しばしの休憩を挟んで、とんCHANとショックさんが再び登場。トイピアノで演奏したり、とんCHAN手作りのパンが抽選(?)でプレゼントされたりと、ほのぼのとした雰囲気でした。

 続いてまりさんも登場し、何とヘアメイクショー! 武井麻里子さんはサロンモデルとしても活躍しているのですが、そのヘアメイクチェンジの様子をステージ上で公開しながらバックで演奏するという企画なのです。進行役の川島社長から、まずサポートのベーシストとギタリストが呼ばれます。次にドラマーが呼ばれたのですが、何やらダイソーに電池を買いに行って不在ということで、急遽ピンチヒッターに指名されたのはショックさん。突然のことに戸惑う素振りを見せるも見事なスティックさばきを披露したので、これは台本どおりなのかと思いきや、後から聞いたところリアルに突然の無茶振りだったとのこと。リハ無しであの演奏は、さすがという以外ありません。

 そうこうしているうちに、ヘアメイク終了。担当したゲスト美容師の玉木氏曰く、コンセプトは「可愛い顔が隠れるともったいないので出してみました」とのこと。なるほど確かに!

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第2部(後半戦)

 明けて後半戦、まりさんは衣装を変えて登場。続けざまに演奏した「未明☆戦争」と「空、緑」は、アルバム「フルカラー」でも冒頭に曲順で収録された代表曲。変拍子に転調、意表を突きつつも心地よいコード進行など、blue marbleらしさがこれでもかと言うくらい詰まっています。この先どっちに曲がるか分からない、スペースマウンテンに乗っているような感覚の楽曲。この演奏にはかなりの力量が求められるはずですが、サポートの3人は難なく演奏しているように見えるのが心憎いです。そしてそこに乗っかる武井麻里子のやや突き放したようなボーカルは、冒険に出る少年の期待と不安の交錯を見事に描いています。この感覚はPVでも十分に伝わるので、未見の方はぜひチェックしてほしいです。

 続いて、まりさん自身いちばん思い入れがあるという「flowers」。最初はピアノの伴奏だけでしっとり歌い、2番に入るところでベースとドラムが加わって厚みを増し、さらにギターソロで泣かせるという神展開のこの曲。感情を込めて歌い上げる姿は何というか、神々しかったです。

 そのあとは新曲の「空の魚」、PVにもなっている「prince of modern」、旧譜のヴァレリーより「街を歩くソルジャー」と続き、いよいよラスト1曲。絶対に聴いたことある曲なんだけど、どうしても思い出せない! この曲なんだったんだろう??と思って終演後に訊いたら、PSY・Sの「WOMAN・S」のカバーとのことでした。そう言えば前にもライブでやってたっけ。確かにblue marbleとPSY・Sはサウンドの傾向が似てるような気がします。

アンコール(延長戦)

 そしてお約束のアンコール。メンバー3人ともワンマンオリジナルTシャツに着替えて登場です。まず「フルカラー」収録の「空が喚く」を演奏し、一旦引っ込んだと思ったら2度目のアンコールで新曲の「Hello!」を披露(ダジャレになってしまった^^;)。このとき観客全員に配布されたブルーのサイリウムは、ステージから見たらきっと圧巻だったことでしょう。

 全演目が終了し、物販タイム。今回は何も買わなかったのですが、ちゃっかり写真を撮らせていただきました。まりさんがさしてる傘は、別のファンの方がその場でプレゼントしたものです。

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最後に感想

 キャッチーかつテクニカルな楽曲と、卓越した演奏技術。独特な世界観の歌詞と、個性的なボーカル。そして女性アーティストとしては極めて重要なビジュアル面もベリーキュート。blue marbleは、売れる要素を十分に持っているグループだと思います。とんCHANとショックさんは普通に働いているのでマイペースな活動になりがちかもしれませんが、その分まりさんが引っ張って高みを目指してほしいです。次のワンマンは、代官山LOOPかな??

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セットリスト

blue marble初ワンマンライブ
2014年9月20日(土)「ドキドキ元年」@原宿ストロボカフェ

第一部

1.boy MEETS girl
2.パーティーの方程式
3.shine me more
4.未来都市ドライブ
5.まだ(チャクラのカバー曲)
6.あんのうん
7.super star shooter

企画1「とんちゃん&ショック太郎のコーナー」

1.降り続く雨はいつでも (piano solo ver.)
●とんちゃん天然酵母パン~プレゼント抽選会
2.ゲルダの初恋 (toy piano ver.) スライドショー~本間藍(イラストレーター)

企画2「まりのヘアカタショー」
司会・川島イタル ゲスト美容師・玉木 亮(サロン ド ミルク)

●即興セッション曲「What’s Going On」(マーヴィン・ゲイのカバー曲~ドラム・ショック太郎)

第二部

1.未明☆戦争
2.空、緑
3.flowers
4.空の魚 (新曲)
5.prince of modern
6.街を歩くソルジャー
7.Woman.S (PSY・Sのカバー曲)

アンコール1

1.空が喚く

アンコール2

1.Hello!(新曲)

http://bluebluemarble.tumblr.com

※セットリストは「blue marbleのマテリアルワールド」より
※写真は武井麻里子Twitterより(開演前と傘の写真は私が撮影)

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