東京ビッグサイトで開催された楽器フェア2014の2日目に行ってきました。楽器なんかこれっぽっちも弾かないんですけどね。目当てはローランドブースで行われたふえのたすのライブ。楽器フェアは11月20日(金)から22(日)の3日間開催で、そのうち金・土の2日間、合計5回ふぇのたすのライブが行われたのですが、金曜日は仕事で行けなかったので土曜日に行ってきたわけです。
ローランドのブースには、看板商品のVドラムなど電子楽器が多数展示されていて、その奥が着座式のライブスペースになっていました。そこには人数分のヘッドフォンが置かれていて、それを装着して演奏を聴くという珍しいスタイル。ローランドは音楽系同人誌イベント「M3」でもブースを出していたのですが、そのときも同じ方式でした。生演奏をヘッドホンで聴くというのは不思議な感覚ですが、こういう展示会では周りでも色んな音が鳴っているので、集中して聴くのには良いのかもしれません。
この日のふぇのたすの演奏は2回。前回のO-nestとは違い、いつもの3人体制でした。特に2回めは、途中でみこちゃんがVドラムに挑戦するというサプライズも。そしてレクチャーするミキヒコさんがカッコよく見えました(笑)。
楽曲の方は、最後に演奏した「タイムトラブル」がとても印象深かったです。アルバム収録のバージョンとは違って聴こえたのですが、おそらく10月13日に下北沢ReG(台風の夜の神ライヴ!)でアルバム全曲披露したときと同じアレンジだったように思います。アルバム音源と比べてよりシンセサウンドが前面に出ていて、未来感というか、ライムトラベラー感が強調されたトラックになっていました。ローランドのデモ的にもピッタリだったのではないでしょうか。SE部分などステレオ効果も駆使されていたので、その意味でもヘッドフォンに合ってましたね。このバージョンもぜひ音源としてリリースしてほしいです!
ふぇのたす関連ではもうひとつ、ドラムの澤“sweets”ミキヒコによる「太鼓の達人プラス×V-Drumsコンテスト」もやってました。バンダイナムコとローランドがコラボして、iOS版の太鼓の達人をVドラムでプレイできる仕組みがあるのですが、そのデモンストレーションの一環です。最初にミキヒコさんがお手本として、ふぇのたすの持ち歌にして太鼓の達人に収録された「電子ドラムの達人」をプレイ。続いてお客さんが挑戦したのですが、選んだ曲がなんと4人連続で「夏祭り」。そりゃまぁ、確かに太鼓の達人の定番曲ですけどね、さすがに4人目のときは笑ってしまいました。ところで「夏祭り」といえば、イカ天世代の自分としてはジッタリンジンの代表曲とばっかり思ってたんですけど、最近の人にとってはホワイトベリーの曲なんですね。逆にそっちのバージョン知らない自分は完全に過去の世代ですね、ハイ。
せっかくの楽器フェアなので、他のブースもいろいろ回ったのですが、とりわけ感激したのは「YMO展2014」でした。YMOが35年前に実際にライブで使っていたアナログシンセの機材セットが完全再現(この記事の最初の写真です)されていて、音は鳴らず展示されてるだけなのに、ずっと人だかりでみんな写真を撮りまくってました。そう、基本的には「音は鳴らず」だったんです。ところが、ちょうどローランドブース前でミキヒコさんと音楽談義をしているときに、突如としてあの印象的なYMOサウンドが会場中に響き渡りました。このイントロは「BEHIND THE MASK」! もちろんYMO展ブースまで激走。さすがに演奏しているのはYMOではありませんでしたが、それでも会場はすごい盛り上がりでした。演奏が終わると、どこかで見かけた顔の人が挨拶をしています。なんと小室哲哉! なるほどそのラインですね。たった1曲の演奏でしたが、これを聴けただけでも行った甲斐がありました。
それともう一つ、これもヤバかったのがデジタルシンセサイザーで復刻されたメロトロンの展示! メロトロンと言っても知らない人のほうが多いと思いますが、すごい楽器なんです。どうすごいかというと、各鍵盤の下に磁気テープが隠れていて、打鍵するとそのテープを再生することで演奏できるという、まさにサンプラーの元祖的な楽器なのです。音階ごとに録音されたテープを用意するとか今では考えられませんよね。基本サンプラーなので録音次第でどんな音でも出せるのですが、柔らかで幻想的な音色の「Flute」、荘厳で怖さを感じさせる「3 Viollins」あたりが代表的です。前者はBeatlesの「Strawberry Fields Forever」、後者はKing Crimsonの「クリムゾン・キングの宮殿」で使われているのが有名で、両曲とも特にイントロでの使われ方が特に印象的です。
単にサンプラーとしての性能を考えれば、デジタルサンプリングに敵わないんでしょうけど、メロトロンの場合はテープをトレースするときのモーター音やヘッドの巻き戻り音、さらには電圧変化による音の揺れまでも「味」として認識されていて、そういう意味ではむしろこれからの世代にもファンが生まれそうな気がします。
展示してあったのはメロトロンの実機ではなく、デジタルシンセサイザーで再現した復刻版だったのですが、逆にそういうものが商品として成り立つというのが嬉しかったです。とは言っても自分は鍵盤が弾けないので消化不良でしたが、一緒にいたミキヒコさんは色々いじって楽しんでいたようです(ヘッドフォンだったので音を聴けなくて残念!)。ちなみにiPhone用にマネトロンをシミュレートしたアプリ「マネトロン」も出ているので、気になる人はぜひ。名前の割に本格的で、全音階についてメロトロン実機の音を録音してるらしく、結構リアルです。とまぁ、そんな感じで。