2014年、最初に観た映画がこの「ブリングリング」。元日に映画を観に行ったのは、密かに初めてのような気がします。劇場は渋谷のPARCOに入ってるシネクイント。毎月1日は映画の日ということで、正月でも関係なく1,000円でした。お客さんの入りは3分の1ほど。作品的に女性が多いと予想していましたが、意外と男性も多く半々くらいの比率だったでしょうか。
この映画は、2008〜2009年にロサンゼルスの高級住宅街で実際に起きた窃盗事件が元になっています。パリス・ヒルトンをはじめとする数々のセレブの自宅が、“ブリングリング”と呼ばれる10代の少年少女に狙われ、総額3億円以上の「お宝」が盗まれた事件です。ブリングリングというのは「キラキラしたやつら」という意味のスラングらしいですが、果たしてそこに描かれていた若者は確かにキラキラしていました。
ネットでハリウッドセレブの行動を調べて、旅行やパーティで外出していることを確かめた上で、大胆にもその自宅に侵入。洋服やバッグに靴、宝飾品などを次々と漁りまくる。盗んだ服で着飾ってクラブに繰り出し、セレブの家から盗んできたことを堂々と自慢し、写真を撮ってガンガンSNSにアップする。そんなに派手にやったらすぐに足がついて捕まっちゃうよって、見ている方はヒヤヒヤしっぱなしなんだけれど、彼女らはそんなこと全く気にしてない。あまりにも大っぴらすぎて、その愚かさがむしろ清々しく思えるほど。キラキラした印象は、そんなところから感じたのかもしれません。
ところでこの映画、メディアでの露出を見る限りは、出演者の中で数少ない有名女優であるエマ・ワトソンに注目が集まっているようです。そのせいか、どうしてもエマ扮するニッキー中心の作品に見られがちですが、実際のストーリーは窃盗団の中で唯一の男子であるマークの視点で進んでいきます。もともとマークは、クラスの女子からキモいと疎まれている、いわゆる“イケてない”少年という設定。それが、ひょんなきっかけで“キラキラした”女友達ができて、戦友として頼られる存在になっていくわけです。普段まわりの女子からゴミ以下の扱いをされているだけに、モデルを目指すようなスタイル抜群の女友達から頼られる状況というのは、かなりの優越感を感じるはず。例えすぐ先に破滅が見えていても、男としてなかなか後戻りできないんだろうなと。そういう意味で、セレブにあこがれて盲目的に盗みを続けた女子たちとは、また別の愚かさがあったように思います。
それにしても当時のセレブたちって、防犯意識がメチャメチャ低かったんですね。パリス・ヒルトンなんて、作中だけでも何回盗まれたのか数えきれないほど。あれだけの豪邸であれば、セコム的な警備を入れるのが常識かと思うんですけどね。。。そして盗まれまくったパリス当人が、この映画の撮影に自宅を提供したというのもすごい話。「わたし何度も盗まれまくったの」って恥を晒してるだけのように思うのですが、そうでもないんでしょうか。さすがに今は厳重な警備を入れているのでしょうから、また誰かその警備を破って侵入に挑戦していただきたいところです(笑)。
ブリングリング
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